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単記事選択: #314

#314 人工弁置換手術。 / funai [970502(Fri) 23:57]
<<ふむ、やれやれ...

朝7時に母から電話、今から大阪の家を出るとのこと。切ってベッドに戻る。

さらに半時間ほどウツラウツラしてから7時半過ぎに起床。兄も起きてきた。
各自メイルチェックを済ませ、昨日のうちに買い求めたパン(兄は加納町の
イスズベーカリー、俺は明石パン)を食い紅茶を飲む。
便所に入ったり顔を洗ったりしてから、8時半過ぎに車に乗り込んだ。

43号線が混んでいるので脇道へ。外は晴れて湿度が高く車内は蒸し暑い。
気分が悪くなってきたが、窓を空けても入ってくるのは排ガスばかりである。
青木辺りの公園では久し振りに自衛隊のテントを3つほど見かけた。

10時半頃に病院に着き、兄が車を停めている間一足先に病室へ。
母は既に到着していた。父は(昨日の夜から絶食断水だが)元気そう。

手術用の服に着替える間に下の売店まで飲み物を買いに降りて、
戻ってみるともう父は準備を済ませて搬送用のベッドに横たわっていた。
周りに関学教授の患者や看護婦がいるので脇をくぐってベッドの側に立つ。
しばらくそのままで待つように言い残して看護婦が出ていき、教授患者も
ひとしきり話してから出ていった。母、兄らと共に代わる代わる父と握手する。

看護婦は20分ばかり経ってから戻ってきて、予備麻酔を打って血圧を計った。
ハンドルを回してベッドの高さを上げ、無精ヒゲを生やした若い医師と一緒に
父を運び出していく。搬送用のエレベーターを待ち、ここで見送りは終わり。

病棟前のロビーのような所に3人で座って時間を潰す。俺は眠ろうとしたが
何だか落ち着かないので、母にそう言って病院の外に出た。

武庫川駅の側から武庫川を東へ渡った。ヘラブナ釣りをする人、クスノキの下で
野外マージャンをする人々。商店街を端まで歩き、そこから南へ回り込んだり
北へ線路を越えたりしながら食い物屋を検分した。全般的にタコヤキが安い。

けっきょく駅前の「アラスカ」に入ってオムライスとコーヒーを頼む。
食いながら、今頃父はヒラキになっておる時分じゃ等とボンヤリ考えてみた。

川沿いのエロ本だらけの本屋でコンピューターショップ情報誌を買った。
後から店に入って来たチンピラ風のチョビ髭中年男、店主のジジイに金鎖を見せて
「釣りがしたいんやけど、これ預けるから300円貸してくれんか」などと。
「いや〜〜、それはやれまへんなあ...」

もう一度川を渡って病院へ戻り、分厚い雑誌を隅から隅まで読み尽くした。
ときどき下へ降りて飲み物や「杉本屋のゼリー」を買って来ては飲み食いする。
同じ姿勢で座り続けていると、背中が痛くて堪らない...うつむいて少し眠った。

見舞に来た親類どもに芝居がかった話を始めるバイパス手術跡のあるオバはん。
何だか松竹新喜劇の人情物のような皆の有様を眺めて疲労を濃くする。

ベンチの前にあるエレベーター、ときどき無人のままやって来てはドアを開けた。

5時、6時。7時前になって見舞人が退去してから、ようやく看護婦がやって来た。
ちょうど車の移動に出た兄を待ってから4階のICUへ。

ICUと手術室の4階、曲がりくねった廊下とそこいら中に積み上げられたゴミや
ダンボール箱。そのいちばん奥にあるICU前で、スリッパにはきかえ白衣を着て
マスクと帽子も付けて目の虚ろな執刀医の説明を聞く。予定通り人工弁に置換した由。
その後ICUに入り、パイプと機械に取り巻かれた父の寝顔を眺めた。生きている。

車に乗り込んでから、晩メシを食う場所でまた一モメ。母はいつも一旦決めたことを
またブリ返して悩み出すので困る...須磨海岸側の「ing」へ入った。
2階の便所の下にあるテーブル、足りないカトラリ、汚らしいウェイトレス。
ビールを飲んでから階段を上って便所に入り、ちょうどビールと同じ色の小便をする。
タンクのレバーを動かすと水がシャーと出て便器がきれいになった...
誉めるほど良くもないが、確かに悪くはない。

本日聴いたCD:
Glenn Gould "Brahms:Ballades,Rhapsodies,Intermezzi"


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